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  3. 認知症を予防しよう(3):バランスの良い食事は認知症予防のキホン

バランスの良い食を実現する「多様性スコア」を活用しましょう!

少食・粗食を原因とした「低栄養」を改善する方法はありますか?

まずは、偏食がないか、摂っていない栄養素がないかをチェックすることからはじめてみましょう。
そのための目安が、私たちの研究所が開発した「食品摂取の多様性スコア」です。
必要な食品が毎日摂れるように「食のバラエティ」に注目したチェックリストです。

その科学的な根拠はありますか?

5年間追跡調査したところ、3点以下の粗食の高齢者は、生活機能が低下する危険度が、9点以上の多様な食を摂っていた高齢者の1.64倍も高いという結果でした。多様な食の人ほど、虚弱を意味する「フレイル」(要介護の前段階)になる危険性が低かったのです。
また、3日間の食事記録調査をし、その結果と食品摂取の多様性得点を比較したところ、多様性得点が高かった人は、おかずの品数が多く、さまざまな栄養素がバランス良く摂られていました。体組成を測定してみると、点数が高い人は、脂肪を除いた体重である徐脂肪量も十分で、筋肉、骨、内臓がしっかりしていました。そして、おかずが多かった人は、カロリーが決して多くなくても、いろいろな栄養素を含む食事、すなわち栄養素密度が高い食事となっており、元気でした。

「多様性スコア」の点数を高くする方法は、ありますか?

「主食」「主菜」「副菜」が揃った食事を一日3食のうち、2食で整えれば、OKです。
すなわち、ご飯などの「主食」、肉・魚などのタンパク質を中心とした「主菜」、野菜の「副菜」、それに汁物を揃えた食事を一日2食、心掛けるのです。
とは言え、後期高齢期には、おかずをいろいろとつくるのも大変ですから、コンビニ弁当などを買うときに同じような観点で選ぶのも方法です。
また、たまには家族や友人と一緒に会食するのも手です。最近では、多世代食堂なども整備されてきていますので、それらを活用するのも一つの方法です。
そうやって栄養の多様性を確保しつつ、食を楽しみ、会話を通して頭を刺激すれば、一石二鳥です。

「食べて外出」を心掛け、食事と社会参加の良い循環をつくる!

食事には、認知症予防への直接的な効果だけでなく、間接的な効果もありそうですね?

食には、認知症予防に直接効く効果と、筋力をつけて生活機能を維持し、人と交流してたくさん会話をしたり、社会参加をしたりという土台をつくって、その上で脳を刺激するという間接的な効き方もあります。
買い物や趣味、おしゃべりなど、外出を楽しむ機会をつくると、知り合いが増え、情報のやり取りが増え、脳がたくさん刺激され、トータルで認知症予防につながります。とくに、人々と関わる「社会参加」は、単独で認知機能の低下を防ぐ効果があるという研究結果が数多く出されていますので、積極的に実践すると良いでしょう。
すると、おいしく楽しく食べる機会も増え、良い循環ができます。バランスの良い食事をとり、体力や活動性を維持し、社会参加の機会を増やすことは、ダブルで認知症予防に効くのです。

個々の栄養素は互いに影響し合っていて、認知症予防に特異的に効くものはありません。それよりも、むしろ栄養素や食品のバラエティ(多種)、ダイバーシティ(多様性)に着目することが大切です。それが認知症予防の現実的な解決策です。

新開省二先生のプロフィール

東京都健康長寿医療センター研究所副所長(医師・医学博士)。
1984年愛媛大学大学院医学研究科博士課程修了。同大学医学部助教授(公衆衛生学)を経て、1998年より東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)勤務、2015年より現職。この間、カナダ・トロント大学医学部に留学。日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本体力医学会、日本衛生学会の評議員など。厚生労働省健康日本21(第2次)策定委員会委員、長寿科学総合研究事業、JST-RISTEX研究開発事業等の主任研究者などを務める。日本公衆衛生学会奨励賞、都知事賞などを受賞。

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