尿の切れが悪いときの原因とは?男性の排尿の仕組みとともに解説
「トイレに行っておしっこをしても、ピタッとおしっこが止まらず、ポタポタと尿がタレてきてしまう」
「排尿した直後にもおしっこが出てしまい、ズボンが汚れることがある」
このように、尿の切れが悪いという悩みをお持ちの男性の方は、意外と多いのではないでしょうか。
この記事では、尿の切れが悪いときの原因を、男性の排尿の仕組みとともに解説していきます。
1.男性の排尿の仕組み
尿切れがなぜ悪くなるかについて解説する前に、まずは男性の排尿の仕組みについて解説します。
人間の体で排尿機能をつかさどるのは、尿をつくり、蓄え、排泄する器官です。これらの器官は泌尿器と呼ばれ、腎臓・尿管・膀胱・尿道が含まれます。また、男性の場合は、前立腺という男性特有の臓器も泌尿器に含まれます。前立腺は膀胱のすぐ下にあり、クルミほどの大きさの器官で、内部を尿道が通っています。
泌尿器は、尿を蓄えておく蓄尿機能と尿を体外に排出する排尿機能を担っています。それぞれの器官の役割は以下のとおりです。
- 腎臓……尿をつくる
- 尿管……腎臓でつくられた尿を膀胱へ送る
- 膀胱……尿をため、尿を体外に排出する
- 尿道……膀胱にたまった尿が体外に排出されるときの通り道となる
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
1. 尿を作る腎臓
人間の体で重要な働きをする臓器の一つに腎臓があります。腎臓は、背中の腰の上あたりにあり、背骨を挟んで両サイドに一つずつ配置されています。
腎臓の働きで代表的なものは「尿の生成」です。まず、腎臓の糸球体という部分で血液が濾過され、1日約180ℓ程度、「原尿」と呼ばれるおしっこの元が作られます。
原尿には体にとって必要な栄養素も多く含まれているため、尿細管という部分でその約99%が再吸収されます。最終的に残った約1%が老廃物として「尿」となり排泄されています。
2. 尿をためる膀胱
腎臓でできた尿は膀胱で貯められます。150〜250mL程度貯まると尿意を感じ、300-400mLを超えてくると尿意が強まり排尿が促される仕組みになっています。
3. 排尿の仕組み
蓄尿機能と排尿機能が正常にはたらいているときには、特に意識することなく膀胱に尿を蓄え、ある程度たまるとその尿を残らず外へ出すことができます。これは、自律神経のはたらきと、膀胱や尿道括約筋(尿道の筋肉)の伸縮に問題がない状態です。
自律神経には、緊張(集中)しているときにはたらく交感神経と、リラックスしているときにはたらく副交感神経があります。膀胱に尿がたまっているときは主に交感神経がはたらき、膀胱の筋肉が緩んで尿を蓄える一方、尿道括約筋を収縮させることによって尿がもれるのを防ぎます。
尿がある程度たまると、膀胱が脊髄(せきずい)の神経を通して排尿の信号を脳に送ります。脳に「排尿をしたい」という信号が送られることによって尿意を感じますが、脳が「まだ排尿してはいけない」と信号を膀胱へ送ることで、排尿を我慢することができます。その間にトイレへ行き、下着を脱いで排尿の準備をすることとなります。そして、準備が完了したときに、脳が「排尿してよい」という信号を送ります。
排尿時は、尿道括約筋が緩む一方、膀胱の筋肉は縮んで尿を押し出します。
排尿はこのような仕組みでおこなわれているのです。
2.男性の尿切れの悪さは原因がある
では、男性の尿切れの悪さにはどのような原因があるのかを見ていきましょう。
1. 尿切れが悪いとはどのようなことか?
そもそも、尿切れが悪いとはどういったことを指すのでしょうか。
おしっこに関する悩みをお持ちの方は、排尿後におしっこがピタッととまらずだらだら出てしまうことや、トイレでおしっこをしたのにもかかわらず後からポタポタと尿がもれ下着を濡らしてしまうことを「尿切れが悪い」と表現することが多いようです。
おしっこをした後にもかかわらずポタポタと尿がもれてしまう症状は、「排尿後尿滴下」と呼ばれます。これは、尿道に尿が残ってしまう(尿道内残尿)ことが原因として考えられます。
尿道の中におしっこが残ってしまう理由としては、加齢と尿の勢いの低下が挙げられます。そして、その背景には、前立腺肥大症などが原因している場合もあります。
ここから、尿切れの原因について詳しく解説していきます。
2. 前立腺肥大症
前立腺は膀胱の出口で尿道を取り囲む臓器で、精液の一部を産生します。この前立腺が肥大するにより尿の勢いが弱くなることで、尿道の中におしっこが残り、尿切れが悪いという症状につながることがあります。
前立腺肥大症は、排尿に関するさまざまなトラブルの原因の中でも、尿の通過障害として最も頻度と可能性が高いものです。前立腺肥大症は加齢とともに有病率(ゆうびょうりつ)が増加し、70歳代で半数以上が前立腺肥大症といわれています。
前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して尿の通過障害を起こし、頻尿、夜間頻尿、残尿感などの蓄尿症状に加え、排尿後症状も引き起こします。
3. 加齢による影響
加齢に伴い膀胱の収縮力が弱くなり、尿の勢いが弱くなってしまうことも、尿切れの悪さの原因となります。また、加齢によって尿道括約筋、つまり排尿を調整する筋肉も弱くなり、尿をしっかりと止めることが難しくなることもあります。
さらに、年齢を重ねると泌尿器系の働きを司る神経系の調整力が弱まり、これが尿切れの悪さにつながる場合もあります。
4. 医薬品の作用による影響
内服中の医薬品の副作用によって尿切れの悪さを含む排尿障害が起こることもあります。
尿を膀胱に溜めておく蓄尿と、尿を排泄する排尿には、交感神経や副交感神経といった自律神経(人の意思とは関係なく働く神経のことです)が深く関わっています。胃腸薬や下剤止め薬、抗うつ薬、過活動膀胱治療薬、痛み止めなどの薬には、このような自律神経の働きに作用することで効果を発揮するものもあります。それが排尿障害の原因となる場合もあります。
3.尿切れが悪い男性のための対策方法
ここからは、尿切れが悪い男性のための対策方法をご紹介します。
1. 排尿後に陰嚢の裏をおす(ミルキング)
尿道のなかでいちばん太い「球部尿道」があるのは、陰茎の付け根あたり(陰嚢の裏)です。その陰嚢の裏を、排尿後に尿道の出口へ向けてこするようにしぼり出すと、残った尿を外に出すための効果が期待できます。
この方法は、乳搾りの要領で尿を絞り出すことから「ミルキング」と呼ばれています。
2. 生活習慣を改善する
飲水過多、過剰な食事摂取、喫煙などの生活習慣によって、尿道や膀胱の働きが障害されることがあります。また、膀胱を圧迫する可能性がある肥満や、腸に詰まってしまった便が膀胱を刺激する可能性がある便秘ついても尿もれにつながる可能性があります。これらの改善は、排尿障害の症状を和らげるためにとても重要なことです。たとえば、肥満予防のために食生活や運動習慣などを改善することも、排尿障害の改善につながるでしょう。
3. きつい下着や衣服を身に着けない
きつい下着や衣服を身に着けると尿道が圧迫され、尿の切れが悪くなることがあります。尿切れの悪さにお悩みの方は、体型に対して余裕のある衣服を着用するようにしてみましょう。
4. 尿ケア製品を使う
男性向け尿もれパッドや尿もれシートなど、尿もれケア製品の活用も効果的と考えられます。工夫を行っても尿切れが悪く、尿もれが気になる場合には、尿ケア製品を使ってみてはいかがでしょうか。
ご自身の尿もれの量などに合わせて尿ケア製品を選んでみましょう。
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4.症状がひどい場合は医療機関に相談を
排尿トラブルの原因は人によってさまざまです。もし、症状がひどい場合には、医療機関を受診するようにしましょう。
特に、前立腺肥大症などが隠れている場合には、お薬での治療や早めの手術などが必要になることもあります。症状が悪化したり違和感を覚えたりした場合には、ためらわずに医療機関で受診してください。
まとめ
ここでは、排尿のメカニズムを解説しながら、尿切れの悪さの原因や改善方法についてご紹介しました。尿切れの悪さに悩んでいる方は、まずはセルフケアを行い、尿ケア製品を使ったりしながら、上手に対応していきましょう。
しかし、前立腺肥大などの病気が原因となっていることもあります。デリケートな問題でもあり人に相談しづらい症状でもありますが、気になる場合は早めに医療機関を受診してみましょう。