残尿感が続く原因は?自分でできる解消法と受診の目安
「残尿」は、年代を超えた悩みです。全国の男女2000人に実施したインターネット調査では、7割が「残尿感」を実感していました。本記事では、残尿と残尿感の違い、残尿感の原因、自分でできる対策まで専門家の見解に基づいて解説します。
残尿感とは?
「残尿」と「残尿感」は混同されやすいですが、実際は全く異なります。どちらの定義に当てはまるのかを把握しておくと、適切な対処の方向性を理解しやすくなります。そのため、まずは概念の整理が重要になります。
残尿とは、客観的に排尿後に膀胱内に実際に尿が残っている状態を指し、その量が排尿障害の重症度になるため診療には重要な指標です。一方で、残尿感とは、主観的に排尿後にも膀胱内に尿が残っているような感覚を指します。実際に尿が残っている場合もあれば、残っていなくても違和感として知覚される場合もあります。重症の排尿障害では大量の残尿があっても膀胱知覚が廃絶しているため残尿感はほとんどありません。
残尿感があるとき受診が必要なケースは?
残尿感が一時的であれば様子を見ても良いのですが、2〜4週間以上症状が続く場合や尿混濁や症状が悪化した場合には受診が必要です。特に尿の勢いが弱い、頻尿傾向があるといった症状を伴う場合は、前立腺肥大症、尿路感染症や前立腺炎の可能性が考えられます。
また、尿がほとんど出ない、下腹部に強い痛みがある、発熱や血尿を伴う場合には注意が必要です。これらは感染症や重篤な疾患のサインである可能性があるため、早めに泌尿器科へ受診しましょう。
残尿感を引き起こす主な原因とは?
男性の残尿感はさまざまな要因で生じますが、代表的なのは前立腺の問題、感染症、神経の異常です。原因ごとに仕組みや症状の現れ方が異なるため、特徴の理解が重要です。自分の症状と照らし合わせて原因を把握することで、適切なセルフケアや受診につなげやすくなります。
加齢に伴う男性ホルモンのバランスの変化により前立腺が肥大し、前立腺肥大症を引き起こすと考えられています。肥大した前立腺が尿道を圧迫することで、尿の流れが妨げられ、排尿後もすっきりしない残尿感が生じやすくなります。尿の勢いの低下や尿が途中で途切れる、出し切るまでに時間がかかるといった症状が特徴です。
細菌感染による前立腺の炎症
大腸菌などの腸内細菌や、性感染症の原因となるクラミジアなどの感染により前立腺や尿路に炎症が起こると、排尿時や排尿後に違和感や残尿感が生じやすくなります。また、下腹部や会陰部の鈍い痛み、排尿時の不快感などを伴うことがあります。
膀胱や尿道の働きの乱れによる神経の障害
脳や脊髄の疾患、糖尿病などによって膀胱の機能をコントロールする神経に障害が起こると、神経因性膀胱を発症します。脳と膀胱を結ぶネットワークがうまく働かなくなることで、膀胱の収縮や排尿のコントロールが難しくなり、残尿感が生じやすくなります。尿が出にくい、頻尿、尿失禁といった症状を伴う場合もあり、排尿障害が慢性的に続く傾向があります。
残尿感を解消するための対策
残尿感の解消において、日常生活でできるセルフケアが有効な場合があります。排尿方法の工夫や筋力トレーニングを取り入れることで、症状の軽減が期待できます。
ミルキングとは、排尿後に尿道内に残った尿を外に押し出す方法です。陰のう(精巣の入った袋)裏側の付け根部分から先端に向かって軽くなぞるように圧をかけることで、尿道内の尿を排出できます。 ※睾丸は精巣と使用されるようになりました。
尿道内の尿が少量でも残っていると、おっかけモレが起きたり、その刺激が違和感として知覚され「まだ出し切れていない」という残尿感につながることがあります。ミルキングで残尿を減らせると、この違和感の軽減が期待できます。ただし強く押しすぎると逆効果になるため、優しく行いましょう。
関連記事:男性に起きやすいおっかけモレ(ちょいモレ)とは? その原因と予防方法について紹介!
「おっかけモレ筋トレ」を行う
おっかけモレ筋トレとは、膀胱や尿道、前立腺周囲を支える筋肉(骨盤底筋)を鍛えるトレーニングです。骨盤底筋を鍛えることで尿道の締まりが良くなり、排尿トラブルや残尿感の改善につながります。
具体的なトレーニング方法については、こちらをご確認ください。
排尿習慣を工夫する
排尿時は腹部や骨盤周囲の力を抜き、リラックスした状態で時間をかけて行うようにしましょう。軽く前かがみの姿勢をとると尿道が開きやすくなり、スムーズな排尿につながります。強くいきむと骨盤底筋が緊張し、かえって知覚過敏を起こして残尿感が悪化する可能性があります。力まずゆっくり出し切る意識がポイントです。また、尿意を感じたら適切にトイレへ行く習慣をつけると、膀胱への負担が軽減され、残尿感の改善が期待できます。
残尿感についてよくある質問
残尿感について、よくある質問とその回答を、専門医の見解に基づき解説します。
残尿感がある場合でも、水分摂取を控える必要はありません。逆に水分を適切にとる必要があります。水分不足になると尿が濃くなり、膀胱粘膜に刺激を与えてしまいます。その結果、残尿感がかえって悪化する可能性があります。
便秘があると残尿感にも影響を与えますか?
便秘があると膀胱の知覚刺激が起こり、残尿感が出やすくなるときがあります。そのため、腸内環境を整え、規則的な排便を促すことが重要です。便通の改善により、膀胱への圧迫や刺激が軽減され、残尿感が解消するケースもあります。便秘の際は、食物繊維の摂取や適度な運動を取り入れるようにしましょう。
まとめ
男性を悩ませる「残尿感」の原因は、前立腺肥大症や前立腺炎、神経因性膀胱など、さまざまです。まずは自分の症状を正しく理解し、ミルキングやおっかけモレ筋トレといったセルフケアを日々の習慣に取り入れてみましょう。また、水分を無理に控えるのではなく、適切な水分補給を心がけましょう。
ただし、2〜4週間以上残尿感が続く場合や症状が悪化したと感じる場合、強い痛み、発熱、尿混濁、血尿を伴う場合は、重大な疾患が隠れているサインかもしれません。ひとりで抱え込まず、早めに泌尿器科を受診して専門医の診断を受けるようにしましょう。




