「おっかけモレ筋トレ」とは、骨盤の底にあり、尿道を締めるはたらきをしている骨盤底筋(骨盤底筋群)を鍛えるための簡単なトレーニングです。骨盤底筋は年齢に関係なく鍛えることができます。最も重要なのは、毎日続けること。1日5分でもいいので継続するようにしましょう。おやすみ前に必ず行うなど、日々の生活の中で習慣にすると長続きしやすくなります。
[監修] 医療法人社団 實理会 東京国際大堀病院 泌尿器科 医学博士 鈴木康之先生
「骨盤底筋」とは
骨盤底筋は、膀胱・前立腺・直腸などの臓器を骨盤の出口の部分で支えている筋肉のグループです。尿道や肛門の開閉にも関わっており、加齢、肥満でこの筋肉がゆるむと、骨盤底筋は重力に負けて尿がもれやすくなります。繰り返し咳やくしゃみが出ている場合も、骨盤底筋は緩みやすくなります。立位で歩行するヒトはこの骨盤底筋で内臓も支える必要があり、より負担がかかるのでここを鍛えて位置を保つことが排尿機能維持に大きく貢献します。
骨盤底筋は、体幹の奥にあるインナーマッスルです。体表近くにある筋肉と異なり、正しく動かせているかを自分で判断しにくいという特徴があります。そこでまずは、骨盤底筋がどの位置にあり、どんな働きをしている筋肉なのかを知ることから始めましょう。
椅子に座り、両方の手のひらを上向きにしてお尻の下に置きます。指が触れる、かたい骨のでっぱりが坐骨結節です。「骨盤底」は、この坐骨結節の間に張っています。
持続的な収縮ととっさの収縮
骨格筋には、持続的に収縮することが得意な筋肉線維(遅筋)と瞬時に強く収縮することが得意な筋肉線維(速筋)があるといわれており、ひとつひとつの骨格筋は、遅筋と速筋の線維が混ざり合ってできています。
骨盤底筋はもともと、持続的な緊張を保つことを得意とするインナーマッスルです。私たちがからだを起こしている間、骨盤底筋は完全に力が抜けることがなく、神経から絶えず筋収縮の電気刺激が伝えられています。持続的な収縮はまさに遅筋の得意分野であることから、骨盤底筋は遅筋線維を主体とする筋肉だと考えられています。
トレーニングをする際は、姿勢に応じて力を抜き、スロースクイーズ(ゆっくりと締める)を毎日少しずつ行うことから始めましょう。尿もれの予防・軽減には、腹筋や背筋に力が入るのに先立って骨盤底筋が収縮する機能も大切です。クイックスクイーズ(とっさに締める)トレーニングの解説もあわせてご覧ください。
基礎編は骨盤底筋にかかる負荷が低く、動きを感じやすい姿勢で構成しています。応用編は椅子に座る・立つなど、日常生活に近い、より負荷の高い姿勢で行います。まずは基礎編で正しい締め方を覚え、慣れてきたら応用編で試してみましょう。
重力の影響を受けにくく、骨盤底筋の動きをいちばん感じやすい姿勢です。
初めての方はまずこちらから
仰向けに寝て、足を肩幅に開き、両膝を軽く曲げて立て、からだをリラックスさせます。お腹や足、腰などに力が入らないように注意しましょう。
A スロースクイーズ:持続的な筋緊張を高める
最大の力の70%ほどの力で、ゆっくりと肛門、尿道全体を締めます。12〜14秒かけて締めたらその後は、完全に力を抜いて休ませます。この「締める」から「緩める」までを1分間のサイクルとし、休む時間もきちんととって10回繰り返します。締める時間は最大でも14秒までにしましょう。きつい方は、最初は5秒ぐらいから始めてください。陰茎をおなかの奥へグッと引き込むようなイメージを持つと、正しい位置に力が入りやすくなります。10回締めるセッションを1日3回くらい行いましょう。
B クイックスクイーズ:とっさの筋緊張を高める
スロースクイーズを終えたら、今度は最大の力で骨盤底を締め、そのまま1秒間保ちます。その後休みをとり、15秒程度のサイクルで1秒間の最大収縮を10回くらい反復します。
このトレーニングの目標は、必要な瞬間にとっさに骨盤底筋を締められるようになることです。これは、生活の中で腹筋や背筋を使う際に自然と活用される力でもあることから、クイックスクイーズのトレーニングは数多く行う必要はありません。しゃがむ動作やマシントレーニングで体幹の筋肉を使うことでも、しだいに骨盤底筋をとっさに締める力は整っていきます。
はじめての方
おすすめのセット数
Aのトレーニング 10回+Bのトレーニング10回=1セット
1日2~3セットを目指しましょう。
まずは、1分間を1サイクルとして12~14秒じっくり締める動作を10回行い、骨盤底筋を使う動作をしっかり体感しましょう。慣れたら、短く強い収縮(15秒を1サイクルとして1秒間だけ、できるだけ強く締める。10回反復)も追加。1日3セットを目安に続けましょう。
骨盤底筋の状態は、人によって大きく異なります。
もともと筋肉がしっかりしていて、あとは「とっさの骨盤底収縮」を磨くだけでよい方もいれば、筋肉自体が弱く、収縮力が足りない方もいます。うまくいかないと感じたときは、一人で抱え込まず、医師に相談することも大切な選択肢のひとつです。
応用編の姿勢は、状況に応じて組み合わせて構いません。ここまで身につければ、日常生活の中でいつでも行えるようになります。気づいたタイミングで、ぜひ取り入れてみてください。
日常の中で取り入れやすい姿勢です。
椅子の背もたれに腰と背中をあずけ、深く腰かけます。この時、肩の力は抜きましょう。
以降は、「仰向けの姿勢で」と同じように無理のない範囲でAとBに取り組みましょう。
全身の体重が骨盤にかかるため、もっとも負荷が高い姿勢です。
足を肩幅ぐらいに開き、腰の高さぐらいのテーブルのそばに立ちます。
両手も肩幅に開き、全体重を腕に乗せテーブルにつきます。
以降は、「仰向けの姿勢で」と同じように無理のない範囲でAとBに取り組みましょう。
よくある質問
Q1. 骨盤底筋がどこにあるかわかりません。
自転車や二輪車のサドルに腰をかけた姿勢をとると、骨盤底はサドルに支えられます。ご自宅で試す場合は、バスタオルを円柱状に巻いてスツールの上に置き、それに跨るように腰かけてみてください。骨盤底が下からタオルに押される感覚がわかるはずです。骨盤底筋トレーニングを始める前には、まずこうして骨盤底筋の位置を意識することから始めましょう。
Q2. 骨盤底筋トレーニングの注意点は?
骨盤底筋以外の筋肉を締め付けないようにしましょう。別の筋肉を収縮させると腹圧で骨盤底が下がってしまう可能性があります。そのため、肛門、尿道全体を引き上げる感じで締め付けるようにトレーニングをおこないましょう。
Q3. トレーニングをしても効果を感じません。なぜ?
骨盤底筋を締める動作が正しくできていない、トレーニングの効かないタイプの尿もれである、などいろいろな原因が考えられます。動作に自信が持てない場合、および、1か月ほど続けてみて効果を感じられない場合には、受診して原因を調べるのがよいでしょう。専門家であるWOC看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)が居れば相談してみてください。
Q4. 尿もれ改善以外にも効果はありますか?
骨盤底筋は、体幹を支える筋肉のひとつです。トレーニングでこの筋肉を鍛えることは、骨盤の安定性を高めることにつながり、腰痛の軽減や姿勢の改善も期待できます。尿もれ対策としてだけでなく、からだ全体のコンディションを整えるトレーニングとしてもおすすめです。
おっかけモレ筋トレと合わせて
尿ケア製品の使用も検討しよう
「おっかけモレ筋トレ」は、尿道を締める骨盤底筋を鍛え、尿モレを予防する効果的な方法です。
しかし、トレーニングだけでは改善されず、日々の生活に不快感が残る可能性もあります。その際には、ライフリーさわやか男性用の尿ケア商品を併用してみましょう。極薄2.0㎜の快適シートタイプや安心のパッドタイプなど、モレの量に応じて選べる商品が揃っており、日々の生活での不快感が軽減されます。
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