ユニ・チャーム排泄ケア研究所 立てる方・座れる方の介護・リハビリについて
自宅での生活リハビリにおいて大切なのは、生活する力の基礎を取り戻すことです。そのためには、毎日の排泄ケアがとても重要な役割を担ってくるのです。
紙パンツを使った自立排泄支援
ユニ・チャーム排泄ケア研究所では、自宅での排泄介護では、テープ止めではなく紙パンツを使用することを推奨しています。1日24時間、テープ止めの中に排泄してもらうのをやめ、昼間だけでも、便だけでも、10回のうち1回だけでもトイレで排泄する。そのためには、リハビリパンツなどの紙パンツやパンツ用パッドを活用して、失敗を恐れずトイレに行くこと、トイレ誘導することを目指してほしいのです。トイレに行けるようになれば、生活や活動の幅もぐんと広がります。紙パンツを履くということは、トイレでの自立排泄を促す大きな第一歩であり、介護する人と介護される人両方に、生活復帰や社会参加に向けての勇気を与えてくれるのです。
生活復帰への第1歩(おむつからパンツへ)
「トイレを使う」ことの意義
皆さんはトイレと聞くと、排泄をする場という概念をお持ちかと思いますが、私は、トイレは排泄するだけでなく、パッドを交換したり、排泄物を処理したりする場でもあると考えます。たとえ便座に座って排泄することができなくても、介護者の手を借りながらでも、座った姿勢でパッドを交換したり、紙パンツをはきかえたりできるのであれば、「トイレが使える」ということです。
トイレが使えるようになると、外出して、人と交流できるようにもなるため、社会参加への意欲や希望も高まるでしょう。また一方で、便座に座るという姿勢が、排泄する上で最も適した姿勢であるといわれています。
この姿勢がスムーズな排便を促しますので、排便障害に悩む方々の排泄機能を高める効果も期待できるのです。
このように、「トイレを使う」ということは、社会的・心理的・身体的に重要な意味を持っているのです。
排泄日誌をつけましょう
自宅での排泄介護において、私は「排泄日誌」をつけることもおすすめしています。
日誌には、パッドが汚れていた時間や排便のあった時間、便の状態などを細かく記録します。
これにより、トイレに誘導するタイミングがつかめてきますし、使用するパッドも適切に選べるようになるでしょう。
また、細かな動きや表情を観察することで、尿意や便意を感じているのかどうかを知ることもでき、排泄のシグナルをつかめるようにもなります。
排泄日誌をつけながら、効果的なトイレ誘導による排泄の成功体験を積み重ねていくことは、介護する人と介護される人両方の自信につながり、トイレでの自立排泄の習慣化に大きく役立ってくれることでしょう。
寄稿:船津良夫(1998年~2017年 ユニ・チャーム排泄ケア研究所 主任研究員)
ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所
全国の施設・病院で排泄ケアの実態を調査し、リハビリ紙パンツを使ったトイレ誘導・自立排泄支援を提唱。さまざまな角度から排泄ケア理論の実践活動を行っている。