どんなことが要因になる?
認知症リスクをもたらす要因は、加齢や遺伝子など自分では対策できないことが全体の65%を占めています。そして喫煙や運動不足など、自分で意識して改善できることが35%です。そのなかでも9%と高い割合を示すのが「聴力」で、聞こえが悪いとコミュニケーションに支障が出てくるために、認知機能の衰えにつながりやすいことが指摘されています。
その他に関連するものとして、次のようなものがあげられます。
関連する要因
運動不足や喫煙などの生活習慣
運動と認知症の関連は古くから研究が進んでいて、あまり歩かない人や運動習慣がない人は、そうでない人に比べて認知症リスクが高くなることがわかっています。運動不足だけでなく長年の喫煙なども高血圧や脳卒中といった生活習慣病につながり、認知症のリスクを高めてしまいます。
歯周病もさまざまな影響を及ぼす
口の中だけの問題と思われがちな歯周病ですが、認知症との深い関連が注目されています。
歯周病は常に歯ぐきが炎症を起こしている状態であるために、血管や血液にまで影響を及ぼし、認知症になるリスクを高める動脈硬化や糖尿病につながります。また、歯が抜けると食べられるものが限られるために栄養バランスが崩れ、筋肉や骨が弱くなって活動量が低下、それにともなって意欲も低下することが認知症を引き起こします。
教育年数の影響や、知的活動の不足
アメリカの研究で、教育制度が整っていなかった世代は、近年に比べて認知症の発症率が高かったことがわかっています。これは、教育年数の長さが認知症リスクに関連しているためと考えられています。
また、新しいことにチャレンジしたり、何かを集中して学ぶといった知的活動の機会が減ることも、認知機能の衰えにつながります。
人と会うなど社会的な関わりの減少
人と交流し、会話をすることは、記憶力と言語機能を非常に多く使う活動です。会う約束をひとつするだけで、予定を考え、交通手段を決めるなど、さまざまな面で頭を使っています。相手の反応をみながら進める会話も、脳に刺激を与えています。
その機会が減ると、言葉が出てこない、覚えが悪くなる、ひとりよがりといった認知機能の低下につながっていってしまいます。
ストレスによるメンタルヘルスの低下
ストレスがあるとうつになりやすく、精神的、身体的、認知機能にまで影響を及ぼします。うつ傾向にある人は、そうでない人に比べると認知症の発症率は2~3倍高いという報告があります。ただし、認知症からうつになる可能性もあること、うつと認知症の判別の違いは難しいこともあり、どちらが先なのかは議論が続いています。
認知症予防を知ろう
認知症を予防しよう
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- 診断と予防の重要性が高まる今、認知症の緩和や改善に着目
- 特別な栄養素よりも「バランスの良い食事」
- 激しい運動は必要ない。ほどよい活動を仲間と楽しむ
- 毎日の歯みがきで認知症対策。オーラルフレイルにも要注意
- 10年後に備えて脳の「予備力」をつくる
- 自分が楽しめる、人に喜ばれる交流を長く続ける
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