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認知症のカギは「一次予防」。最新のアプローチとは?

認知症は他の病気とどう違うのか、予防でどれくらい防げるのか、どんなことに注意すればよいのか…。まずは認知症予防の最前線について、さまざまな視点から総合的な研究に取り組んでいる藤原佳典先生にお話を伺います。栄養や運動といった具体策の前に、予防の全体像を知っておきましょう。

なぜ予防が大切なのでしょうか。治療はできないのですか?

現時点では、認知症を根本的に治せる薬はありません。だからこそ、『かからないようにする』ことが重要です。

一番大切なことは、早期発見よりも「予防」

認知症に限らず、病気の「予防」には3段階の考え方があります。まずは、病気にかからないようにする「一次予防」、早期発見・早期治療をしようという「二次予防」、そして、重症化しないようにする「三次予防」です。

これを認知症に置き換えた場合、「一次予防」が一番重要となります。なぜなら、今は認知症の根治薬がない状況だからです。世界各国で新薬の開発が進められていますが、研究がとん挫するなどしてなかなか実用化には至っていません。血圧やコレステロールであれば、薬やライフスタイル改善で発症を予防するなどのコントロールが可能ですが、認知症の場合は早期発見ができても特効薬はないのが現状です。

ですから、「かからないようにする」ということが大切なのですが、認知症の一番の要因は加齢変化なので、100%完全に予防しきれるものでもありません。では、どれくらいの割合で予防できるのでしょうか。

ライフスタイルで改善可能な要因とは

2017年、国際的に権威のある「ランセット」という医学雑誌で、認知症リスクについての発表がありました。生涯にわたる認知症リスクのうち、喫煙、抑うつ、運動不足など改善できる要因は、全体の35%になります。そして、遺伝子や加齢など、改善できないものが65%です。つまり、3割以上のリスクは、生活習慣次第で改善が可能ということなのです。

認知症リスクは、生涯にわたって蓄積されていきます。まず、小児期の教育。脳の神経回路の発達にとって重要な時期でもありますが、子どもの頃に勉強をする習慣が身についているかどうかは、言語を適切に使い、合理的な考え方ができることにもつながり、一生にわたって、安全で健康な暮らしを選択する基盤になり大きな要因と言えます。しかしこれは後からでも挽回できる可能性はあります。

中年期になると、高血圧や肥満の問題が出てきます。そして聴力。聞こえが悪いと情報が入ってきにくくなるのでコミュニケーションがしづらく、これも認知症リスクの要因になります。高齢になってくると、長年の喫煙、抑うつ、運動不足などが蓄積されて影響が現れてきます。また、社会参加がないことも脳に刺激がなくなるのでリスクにつながりますし、糖尿病も認知症の要因となります。

認知症予防は体の健康にもつながる

これらの要因をみると、実はそれほど意外なものはないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。何かを食べなければいけない、こういう運動をしなければならない、ということではなく、一般的に言われている健康的なライフスタイルを送っていれば、認知症のリスクは低くなるということなのです。

頭は体の司令塔でもありますから、認知機能が落ちると全身にも影響があらわれます。体を動かすことがおっくうになり、活動量が減る。すると足腰が弱り、家にこもりがちになる。そのため、さらに認知機能が落ちるという悪循環が起こります。認知症だけが進んで、体はずっと元気なままという人は、案外、多くないのです。

つまり、認知症のリスクを減らす健康的なライフスタイルを送れば、頭と体、どちらも衰えないように歯止めをかけることができます。そういう意味でも、認知症予防は重要な役割を持っているのです。