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  3. 認知症を予防しよう:診断と予防の重要性が高まる今、認知症の緩和や改善に着目(2)

認知症の治療法は、どこまで進んでいますか?

完治できる方法はありませんが、さまざまなアプローチへの期待が高まっています

完全に治療はできなくとも、進行を遅らせる薬はある

現在のところ、認知症を完全に治す治療法はありません。現在アルツハイマー型認知症などの治療に使われている薬(症状改善薬)は、神経の活動を調整することにより症状の進行を最大で1年から2年程度遅らせることができると言われています。しかし、これらの薬は発症を抑えたり症状が進行するスピードを変えることはできないので、認知症の患者数を減らすことはできません。これに対して、認知症の発症を抑えたり、進行するスピードを緩めることのできる薬(疾患修飾薬)の開発が進められています。アミロイドβを積極的に除去する薬やタウの蓄積を抑える薬、神経細胞を保護する薬などです。

認知症への先制医療として注目が集まっているアミロイド修飾薬

認知症が発症する前に、老人斑の蓄積を抑えることが有効ではないかという考えで、ここ10年ほど、治療薬の開発が積極的に進められています。アミロイドβの産生を抑制するものと、除去を促進する二方向があります。このように、発症と深く関連する物質に直接作用することにより発症や進行を制御する薬剤は「疾患修飾薬」と呼ばれ、この場合は「アミロイド修飾薬」と呼ばれます。

最新画像診断のPETによって「アミロイドβ」の蓄積が確認できたり、進行との関係に注目が集まったことが、治療薬の開発へとつながったといえます。

バイオマーカーの研究が原因と症状改善の今後を握る

認知症の改善や完治を目指すためには、診断と治療薬がセットと考えられています。アミロイドβの存在を目に見える画像にするアミロイドイメージングのように、病気の状態やその進行の度合いを客観的に示すことができる指標をバイオマーカーと呼びます。MRIやPETのような脳画像によるバイオマーカーに加え、脳脊髄液や血液の成分を測って認知症の原因となる病気の状態を見ることのできるバイオマーカーの開発が進められてきました。最近では、アルツハイマー病の状態を症状が始まる前から追跡することのできるバイオマーカーが確立され、認知症の研究や新薬の開発に大いに貢献しています。それらのうちのいくつかは認知症の診療の中でも使われ始めています。

認知症患者の割合は、年齢が5歳上がるごとに倍増することがわかっています。認知症になる前の、もの忘れの時期から疾患修飾薬を使用することで、認知症の発生を5年遅らせることができれば、患者数を半数にすることができます。

そのための検査方法や治療法も進歩しています。診断と治療薬をセットに、疾患修飾薬の開発に役立てる環境が整い始めています。

石井賢二

東京都健康長寿医療センター研究所 神経画像研究チーム チームリーダー・研究部長 

1985年京都大学医学部卒業。京都大学神経内科、東京都老人医療センター神経内科勤務を経て、1990年より東京都老人総合研究所ポジトロン医学研究施設勤務。1997-1999年米国立衛生研究所NINDS客員科学者。2004年より東京都老人総合研究所附属診療所長、2009年より現職(研究部長)。専門は神経内科学、脳核医学。ポジトロンCTなどの脳画像診断法を用いて、脳の加齢研究や様々な神経疾患の診断法や治療法の開発研究を行っている。

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