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最近よく耳にする『フレイル』とは何でしょうか?

心身社会的に虚弱になってきても、対策によってまだ改善できる状態のことです

ポイントは「再び健常な状態に戻れる」こと

「フレイル」は、Frailty(弱ること)を語源としている言葉です。歳を重ねると、心身も社会的にも虚弱となり、衰えていきます。しかし、それが初期であれば何らかの対策を練ることによって、元の健康な状態に戻ることもできる、その段階が「フレイル」と呼ばれるもので、最近注目されている概念です。

この中の「ストレス」というのは、いわゆるメンタル面だけのことではなく身体的なものも含みます。つまり病気に対する抵抗力が弱くなるなどです。そういった身体的なものだけでなく、認知機能の衰えや、社会的なつながりといった全体的なことを含んで、なんとなく弱っている状態。しかし「再び健常な状態に戻るという可逆性」がある。これがポイントです。

たとえば、偏食が続いて栄養状態が少し悪くなっている人でも、しっかり食べればまた元の状態に戻れる。体力が衰えても、トレーニングすれば戻れる。その段階がフレイルです。軽度認知機能障害の人も、軽度であれば元に戻る可能性があります。軽度認知機能障害に身体的フレイルが合併している人のことを「認知的フレイル」と呼ぶといった流れもありますが、いずれにしても健常に戻ることが可能です。

社会的フレイルについては、一人暮らしが必ずしもリスクがあるということではありません。そこにネットワークやサポート、あるいは何らかの団体に入ることで、孤立になった状態から改善できる段階がフレイルということです。

チェックしておきたい身体的フレイル

では、具体的にどうなったら「フレイル」と呼べるかという基準については、精神・心理的フレイルや社会的フレイルは議論されているところですが、身体的フレイルについては定義が発表されています。研究者によって完全に統一されたものというわけではありませんが、とても簡単にチェックできる5項目です。

筋肉が減ると体重が減ってきて、握力が弱くなります。握力を測る機会はなかなかありませんが、実は全身の筋力のバロメーターなのです。筋力が衰えると疲れやすくなり、歩く速度もゆっくりになります。1日中家にいるなど、活動量も減っていきます。フレイルの状態でくい止められることができないと、改善が難しい状態へと進行していきます。

総合的なフレイル対策を意識する

これはあくまでも身体的フレイルの話ですが、身体や認知、社会性はすべてつながっているので、現状を把握するためのひとつの目安になります。認知症のリスクが上がる前の50代、60代であれば、この項目で十分にチェックが可能です。

このように、これからは認知症予防だけを意識する時代ではなく、総合的なフレイル対策についても知っておく必要があります。筋力の衰えや認知機能の衰えをできる限り遅らせ、外に出かけて人と会うなど社会参加も意識することで、自分らしい生活を続けることが可能です。さまざまなアプローチを理解して、人生のなかで有意義な時間を増やしていただきたいと思います。

藤原佳典

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム研究部長。1962年生まれ。 北海道大学医学部卒業、京都大学病院老年科等を経て、京都大学大学院医学研究科修了(医学博士)。東京都老人総合研究所研究員、米国ジョンズ・ホプキンス大学/加齢健康研究所訪問研究員等を経て2011年より現職。日本老年社会科学会理事、日本老年医学会代議員、日本世代間交流学会副会長、日本応用老年学会理事。著作『何歳まで働くべきか?』など。